アセスメントについて
アセスメントは、医療・介護・福祉以外でも様々な場面で、使われている言葉だと思います。
では、アセスメントとはどういう意味なのでしょうか。
アセスメントとは、アセスメントの意味
アセスメントとは、対象を客観的に調査、評価すること。「人材アセスメント」ならば、個人の能力や性格に合った役割を与えるために前もって人材を評価するという意味で使われる。人材のほかには、「環境」や「リスク」などの単語と組み合わせる場合もある。環境に与える影響やダメージ、起こり得る事故を事前に洗い出し、被害を最小限を抑えることが目的となる。
介護や福祉におけるアセスメント
介護や福祉、保育の現場にはアセスメントシートというものがある。介護や福祉では利用者やその家族がどのような支援やサービスを必要としているのかを、ケアマネジャーがアセスメントする。その内容をまとめたアセスメントシートは、介護施設で適切なサービスを提供することを目的に使われる。血圧や体温などのデータによる客観的な情報だけでは解決できない、利用者が抱える不安や痛みなどの主観的な問題を解決するために用いられている。
保育の現場のアセスメントシートは、虐待やネグレクトから子どもを守るため使われている。子どもと接している保育士が気付いた事や虐待の可能性がある状態を記録し、子どもの命と心を守るために用いられる。2004年に作成された子どもを虐待から守るのためのチェックリスクを見直し、2018年に「子どもを守るアセスメントシート」が完成した。
アセスメントの意味や使い方 わかりやすく解説 Weblio辞書
読むのも少し疲れるような感じですね。
私個人としてのアセスメントについての考えを、3つのポイントにまとめてみました。
アセスメントとは
- 情報収集
- 情報精査
- 情報査定
アセスメントを一言で表そうとすると適切な言葉が難しいですが、アセスメントには、これらの言葉が含まれており、この3ポイントを気を付けながら行うことで、良い支援に繋げていけると考えています。
アセスメントの際に、勘違いしがちなことは、プランニングを一緒に行ってしまうこと
現実、アセスメントをじっくり行ってから、プランニングを行っている時間がないのは周知の事実ですが、これを理解せずにアセスメントとプランニングを混同しているとアセスメントの過程の最後にある査定を適切に行えない可能性があります。
アセスメントとプランニングが混同してしまう罠
少し事例を出しながら説明します。
事例
入院しているAさんを担当することになりました。
Aさんは、「自宅に帰りたい」と希望しています。
Aさんは、夫と2人暮らしで、夫は仕事をしているため、日中一人になる時間帯があります。
リハビリからは、見守りが確保できない状況がある中で、自宅に帰るには危険性が高い。と言っています。
このような事例があった際には、日中仕事で夫が不在の時間帯は、デイサービスで過ごせばよいと考えることが多いのではないでしょうか。
結果としてデイサービスを利用する方向で話が進んでいくことが多いとは思いますが、あくまでもこれは、プランニングに足を踏み入れてしまっていると理解しておく必要があります。
アセスメントに行く前に情報を整理していきましょう。
- 自宅に帰りたい
- 夫が仕事をしており、日中介護者がいなくなる
- 介護者がいないと自宅で過ごすリスク大!
情報整理をしている時点で、あることに気づきましたでしょうか?
なぜ、介護者がいないと自宅で過ごせないんでしょうか。
アセスメントと同時にプランニングを行ってしまうと、なぜ?が起こりにくくなります。
これがアセスメントとプランニングを混同した際に起こる罠です。
過剰なサービスの可能性もあれば、足りない場合もあり得ます。
プランニング後のモニタリングを通し、再アセスメントを行いますが、過剰なサービスに慣れてしまうと能力が低下してしまうことも考えられます。また、充実したサービスを減らすのは、心理的にも負担となることも考えられます。
アセスメントとプランニングを混同していることに気づかず実践をしている人は、何度アセスメントをしたとしても混同したままで実践を行い、根本的な問題が見えにくいままケースが進んでいってしまいます。
アセスメントとは、どこまでなのか?
適切なサービスを考えるところまで行ってしまうとプランニングになってしまいます。
先程の事例から考えると「日中の一人になる時間帯を補う」→「デイサービスが必要」となったはずです。
その為、アセスメントのとは、、日中の一人になる時間を補えれば自宅に帰れる!になります。
このように物事を分けると「デイサービスが必要」ということは、プランニングが混同してしまっているとわかってきたと思います。
アセスメントの結果から、プランニングを行い、デイサービスに行けば、一人になる時間を補うことができる。となるわけです。
ただ、この時点でも情報は大いに不足しています。改めて簡単にはなりますが、アセスメントの手順について確認していきます。
アセスメントの手順
先程のアセスメントのポイントに沿ってもう一度事例を深めていきます。
アセスメントとは
- 情報収集
- 情報精査
- 情報査定
情報収集
情報収集の段階で、以下のことが分かっていました。
- 自宅に帰りたい
- 夫が仕事をしており、日中介護者がいなくなる
- 介護者がいないと自宅で過ごすリスク大!
次にこれらの情報を精査していく必要があります。
情報精査
精査とは・・・読み方:せいさ[名](スル)くわしく調べること。「感染の原因を—する」
「 精査」の意味や使い方 わかりやすく解説 Weblio辞書
先程収集した情報について詳しく調べていきます。
ここで、なぜ?どうして?などと疑問を持つということが重要になってきます。
自宅に帰りたいということについて
自宅に帰りたい
自宅に帰りたいと思うには、どのような理由がありますか?
家族みんなで過ごした思い出が詰まった自宅なんです。
自宅に帰りたいという理由もとても大切です。
本人の物語(ナラティブ)は、本人を理解することにもつながり、時には専門職を一致団結させるための凄まじい原動力にもなります。
夫が仕事をしており、日中介護者がいなくなることについて
夫が仕事で日中不在です。
どのような仕事?
清掃の仕事です。
9:00に出て、15:00くらいに帰ってきます
といった上記の例のように、情報を精査することによって新たな情報の収集も可能になります。
介護者がいないと自宅で過ごすリスク大!について
介護者がいないと自宅で過ごすリスク大!
なぜ?どうして?
移動の際に歩行が不安定
転倒の危険性がある
なぜ、歩行が不安定?
どのようなときに転倒の危険性がある?
右片麻痺があり、不安定
長めの距離や段差が危険
ほんの数回、なぜ?どうして?を繰り返してるうちに、デイサービス以外の可能性も見えてくるのではないでしょうか。
情報査定
情報収集のみの時点では、以下の情報だけだったのに対し
- 自宅に帰りたい
- 夫が仕事をしており、日中介護者がいなくなる
- 介護者がいないと自宅で過ごすリスク大!
情報精査を行うことによって、情報がさらに増えました。
- 家族みんなで過ごした自宅だから帰りたい
- 夫は、清掃の仕事をしている
- 9:00~15:00の時間帯が不在
- 右片麻痺があり歩行が不安定
- 長めの距離や段差が危険
これらのことを踏まえ、アセスメントの結果
夫がいない時間帯は、9:00~15:00の6時間
6時間の間、長い距離や段差に注意できれば自宅内で過ごせる。
ポイントを意識してアセスメントをするだけで、プランニングに大きく影響が及びそうなことがわかります。
夫が不在な時間をデイサービスで週7日過ごさなければならない状態から、大きく環境を改善できそうなことがわかっただけでも得るものは大きかったと思います。
情報収集、情報精査を繰り返し行い、アセスメントの制度を高め、適切なプランニングに繋げていくことができます。
まとめ
アセスメントは、ニーズをとらえることが最も大切です。
情報収集で得た本人のニーズに沿ってアセスメントを進めていくことになります。
自宅に帰りたいと希望している方がいたとしてもアセスメントを進めていくうちに、潜在的には真逆のことを秘めている可能性もあります。また、自宅に帰りたいと希望していたとしても、アセスメントの結果、自宅に帰るのは難しいという判断なる場合もあります。
その方の人生を左右するアセスメントは最も重要です。
まだまだ、伝えたい内容はありますが、今回はこのくらいにしておきたいと思います。
ここまで、読んで下さった方、ありがとうございました!!